左のお尻を抑える女性

【吉祥寺・久我山】アサーティブフィットネス、パーソナルトレーナーの小森祐史です。
世の中には関節の痛みで悩まれている人が多く、我慢しながら日常生活を続けている方もいます。

「高いところにある物が取れない」
「歩きだすと膝が痛む」

など、このようなことでお悩みの方は多いのではないでしょうか?

それらの症状の特徴は「当初は違和感だったのが徐々に痛みを感じるようになった」というものです
それが鋭い痛みに変われば、関節に問題が起きていると考えて間違いありません。

今回は国内の患者数120万〜510万人と言われている「変形性股関節症」の予防・改善を考えます。

40~50代の方に多いこの疾患は股関節を構成する軟骨が減少し、徐々に骨が変形していきます。
足に体重をかける動きや下肢を曲げる際に強い痛みが生じ、症状が進行すると歩行やしゃがむ、靴下をはくなどの日常動作が困難となります。

患者の9割が女性といわれていますので、皆さんにとっても決して他人事ではありません。

「もう年だし、どこかが痛いのは仕方がない」
「我慢できないほどの痛みではない」

という方は、少しだけ私の話にお付き合いください。

股関節の変形を治すことはできませんが、トレーニングで改善・進行を遅くすることは可能です。
私と一緒に予防法を学んでいきましょう。

 

■変形性股関節症とはどんな病気?

右股関節の骨格図 骨頭部が赤く塗られている

まずは症状の特徴と診断について学びます。

変形性股関節症は股関節の変形の程度によって4つの段階に分かれます。

最も軽度な時期は『前期股関節症』といい、股関節の形にわずかな異常がありますが軟骨自体はすり減っていない状態です。
痛みなどの自覚症状はほとんどありません。

『初期股関節症』になると、軟骨が少しずつ減ってきて関節の隙間も狭くなってきます。
この段階では立ち上がりや歩き始めに脚の付け根(鼠径部)に痛みを感じます。
個人差はありますが、この段階でも痛みを強く感じるといった自覚症状はほとんどありません。

『進行期股関節症』では軟骨がかなりすり減り、骨の一部がこすれ合って痛みが出てきます。
足の爪切りがやりにくくなったり、靴下が履きにくくなったり、和式トイレの使用や正座が困難になります。
場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされることもあります。

「末期股関節症」は軟骨がほとんど消失している状態です。
骨同士が接するため強い痛みが生じ、日常生活に支障が出てきます。
長い時間立ったり歩いたりすることがつらくなり、屋内での移動や階段の乗り降りの際に手すりが必要になります。

この4つの段階を決定するのは画像診断です。

最も重要視されるのX線検査で、骨の形の異常や軟骨の状態、そして病気の進行状況を調べます。
CT検査は詳細な骨の形や状態、MRI検査では関節に水がたまっているかなど、X線ではわからない部分を細かく見る際に行われます。

他には痛みなどを聞き取る問診・歩き方や姿勢を見る視診・関節の状態を触って調べる触診が現場では使われます。

 

■股関節痛の原因はここまでわかっている!

股関節の骨格図と「CE角」の文字

は股関節の軟骨が減り、骨が変形する原因を考えます。

変形性股関節症を発症する要因には

①重いものを運ぶ生活や仕事
②先天的な股関節の形成不全(寛骨臼形成不全)
③加齢による軟骨の摩耗
④肥満
⑤過度なスポーツ

などがあります。

農業や重いものを持ち上げる仕事に従事している人は長年の積み重ねで軟骨が摩耗しやすく、肥満の人は平均体重の人に比べて発症リスクが約1.65倍高いことがわかっています。

また、アスリートレベルのスポーツを行っている人の場合は過度な関節の使用で軟骨を摩耗します。

しかし、日本において主な原因となっているのは“先天的な股関節の形成不全”。

上から大腿骨頭を包む股関節の窪みを「寛骨臼」いい、この部位は体重を支える役割をしています。
ですが先天的にこの窪みが浅いと大腿骨頭を十分に包み込むことができず、過度な負担を関節軟骨に強いることになります。

その基準はCE角(大腿骨頭の中心を通る垂線と寛骨臼の縁を結んだ線との角度)が30度。
20度以下だと寛骨臼形成不全と診断されます。

さらに大腿骨の形状も発症と関連があり、頚体角と前捻角の角度によって発症のリスクは大きくなります。

頚体角:大腿骨骨幹部軸と大腿骨頚部軸のなす角度(正常な角度は120度)
前捻角:大腿骨体部と大腿骨頚部の捻じれの角度(正常な角度は8-15度)

大腿骨を真上から見た時に骨頭はやや前方に向いていて露出しています。
寛骨臼形成不全の人は前捻角が増大している場合が多く、健康な人よりも更に露出している傾向があることが分かっています

また、頚体角が増大しても骨頭の露出は大きくなるため、関節軟骨が摩耗して股関節に痛みが生じます。

つまり日本人の場合、

寛骨臼形成不全による骨頭の被覆率の低下
頚体角・前捻角の増大による大腿骨頭の露出

この2点が変形性股関節症の大きな原因となっているといえるでしょう。

 

【変形性股関節症を改善する3つの筋肉とは?】

腸腰筋と大殿筋の解剖図

原因がわかったところで予防・改善法を考えていきます。

変形性股関節症の問題は痛みだけでなく骨・靭帯・筋肉の3つの組織に変化が表れ、股関節の可動域に制限が出ること。

A.骨
前期股関節症になると寛骨臼の上方に骨棘が形成されます。
これは荷重を受ける股関節の安定性を高めるためにできると考えられますが、この骨棘は関節軟骨に覆われていないため十分に荷重を受けることができません
そのため可動域が制限されます。
進行すると徐々に関節面がせまくなり、さらに可動域が制限されてしまいます。

B.靭帯
変形性股関節症においては股関節に炎症が起き、腸骨大腿靭帯・恥骨大腿靭帯・坐骨大腿靭帯が短縮します。
これらは股関節の動きをコントロールする靭帯なので可動域に制限がでます。

C.筋肉
寛骨臼は前方を向いていて大腿骨頭は前方の被覆率が低くなっています。
変形性股関節症の人は通常よりさらに骨頭被覆率が低くなっているので、無意識に被覆率を高める姿勢をとることがあります。
立位においては屈曲・内転・内旋位(内股姿勢)にすると高めることができますが、その姿勢は内転筋群を強く短縮させるので外転(足を外に開く)・外旋(つま先を外に向ける)動作が制限されます。

以上のような可動域制限が出ると股関節周囲筋群の筋力が低下するため、寛骨臼と大腿骨頭の接地面が不安定となり症状がさらに悪化します。
しかし逆に考えると可動域を改善しながら筋力を向上させれば、症状の進行を遅くできます。

このうち骨・靭帯へのアプローチは難しく、唯一トレーニングで変えられるのは筋肉だけです。
股関節の動きと関係があり、かつ大腿骨頭を寛骨臼に引き付けるのは骨盤周囲の筋肉

腸腰筋(脊柱から骨盤を経由して大腿骨に付着する筋肉)
大殿筋(仙骨・腸骨から大腿骨にかけて付着する筋肉)
中(小)殿筋(腸骨から大腿骨にかけて付着する筋肉)※イラストには記載なし

の3つ。

つまりこの3つの筋肉を鍛えれば、寛骨臼と大腿骨頭の接地が滑らかになり、症状が改善すると考えられます!

 

股関節痛を改善する3つのエクササイズを紹介!

最後に股関節痛を改善する3つのエクササイズを紹介しましょう!

■腸腰筋の筋力トレーニング

1.ベンチに仰向けになります
2.曲げた膝をお臍の位置まで持ち上げます
3.元の位置に戻します


■大殿筋の筋力トレーニング

1.腰幅に膝を開きマットに仰向けになります。
2.体幹と腿が一直線になるようにお尻を持ち上げます
3.元の位置に戻します


■中(小)殿筋の筋力トレーニング

1.片手・片肘をついてテレビを見るような姿勢でマットに横向きになります
2.つま先を下に向けてやや斜め後ろに上の足を持ち上げます。
3.元の位置に戻します


繰り返しになりますが、変形性股関節症の主な原因は『先天的な股関節の形成不全』です。

先天的なことが原因であるため完治は難しいのですが、その進行を遅くしたり、状態を改善することはできます。

すでに症状が表れている方はかかりつけの医師とご相談の上、トレーニングを行ってみてください。
今までより少し症状が緩和してくると思います。

そして今、特に股関節に問題がない方もぜひ今回の筋力トレーニングを習慣にしてください。

股関節周囲の筋肉を鍛えると「立つ」や「歩く」「走る」などの動作が楽になります。
日常生活が楽で快適になるともっと体を動かしたくなり、ダイエットはもちろん健康面全般に効果があります

「100歳まで健康長寿」も夢の話ではありません!

 

参考文献
運動器疾患の「なぜ?」がわかる臨床解剖学(医学書院)
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系 第3版(医学書院)
カパンジー機能解剖学「II 下肢」 原著第6版(医歯薬出版株式会社)

 

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