
【吉祥寺・久我山】アサーティブフィットネス、パーソナルトレーナーの小森祐史です。
この記事では「ケガの応急処置」について解説します。
パーソナルトレーニングの事故に関する話題が各メディアで取り上げられるようになりましたが、なにもケガを負ってしまうのは特別なケースだけではありません。
階段を踏み外して足首を捻ったり、ちょっとした段差で転倒してしまったり、このような事故は日常的にあることです。
そして歳を重ねると身体能力が低下するため、事故に遭うのはさらに多くなる傾向にあります。
一番大切なのは事故に遭わないことことですが、その次に大切なのは「ケア」。
いざ、もしもの時に備えて応急処置を知っておいても損はありません。
そこで今回は最も手軽な怪我の応急処置である『アイシング』の方法を紹介します。
どんな場面でどのように冷やせばケガの回復を早められるのか?
私自身の経験も紹介しながらその効果をお伝えします。
大人のケガは「応急処置」が大切

この文章を書いているのは、梅雨の時期なので蒸し暑い日々が続いています。
これから夏休みなどの長期休暇を取る方に気をつけていただきたいのは「傷害」です。
普段から運動らしい運動をしていない方はとくに注意してください。
というのは、運動能力が低下した状態で急に動き出したらケガをしやすいからです。
一般的にトレーニングの期間が1ヶ月ほど空くと筋力は徐々に落ち始めます。
傷害の種類には
①捻挫 関節に過度な力が加わり、靭帯や関節包が傷ついたり切れたりするケガ
②打撲 転倒や衝突などに強い衝撃によって皮下組織や筋繊維、血管などを損傷するケガ
③肉離れ 筋肉が強く引き伸ばされながら収縮し、筋繊維が部分的または完全に断裂するケガ
④脱臼 関節が外れて本来の位置からずれてしまうケガ。靭帯や関節包が傷つくこともある
⑤骨折 骨に過度な力が加わることで骨にヒビが入ったり、かけたり、折れるケガ
の5つがあります。
子どもの頃は膝を擦りむいたり、打撲するくらいですみましたが大人のケガは深刻です。
骨折や脱臼などの重い傷害は日常生活に大きな影響があるため、楽観視するのは禁物。
それだけ予防という意味で運動習慣は大切なのですが、同じくらい大切なのが傷害を負った後の“ケア”。
適切に応急処置を行えば、通常よりも早く元の生活に復帰できます。
親指の捻挫が早く治った

すでに完治していますが、実は先日、右手の親指を捻挫してしまいました。
負傷したのは、関節技ありのレスリング(グラップリング)の実践練習の際にパートナーの頭を掴みそこねたからです。
すぐに右手親指に激しい痛みが走り、親指の付け根が赤く腫れてきました。
私が患ったのはいわゆる「捻挫」で、以前も同じケガを負ったことがあります。
ですが、骨折のように音が鳴ったわけではないのでそれほど重症ではないことはすぐにわかりました。
その場ですぐに患部のケアを行い、その3週間後には完治しています。
重症の場合は3ヶ月、軽症でも約1ヶ月ほどかかる捻挫の治療。
なぜそれより早く治すことができたのでしょうか?
ケガをすると負傷箇所以外にもダメージがでる

ケガをした直後に応急処置が必要な理由は、負傷箇所以外にもダメージがでるからです。
ケガをすると靭帯や筋肉などの損傷した箇所の細胞が壊れて内出血を起こしますが、一度内出血が起こると本来届くべきだった栄養や酸素が運ばれなくなってしまうので、そのままでは細胞は死滅してしまいます。
さらに外に漏れ出た血液や細胞液は周囲の毛細血管を圧迫し、正常な血流を阻害。
そのことで元気な細胞までも死滅してしまう可能性がでてきます。
ケガで組織が破壊されて、周囲にある元気な細胞が死滅することを『二次的低酸素傷害』といいます。
水をせき止めていた堤防が壊れて、周りの川にも急激に水が流れ込んでくるイメージをもつとわかりやすいでしょう。
どんなに小さな川も一度氾濫すると他の河川に影響がでます。
同じように怪我の程度が軽症であっても、この『二次的低酸素傷害』が広がるとそのダメージはどんどん大きくなります。
ケガをした時は「ちょっとくじいただけだから」といってそのまま放置しないようにしてください。
まずは患部をケアするようにしましょう。
患部を氷で冷やす『アイシング』の効果とは

さて話は前後しましたが、私が親指を捻挫した時に行ったのは『アイシング』という応急処置です。
これは患部を氷で冷やして組織の破壊を防ぐケア方法で、適切な方法で行えばケガからの回復を早めることができます。
アイシングの最大の目的は「細胞の代謝を下げること」。
代謝を下げると、より少ない酸素や栄養で細胞を生存させることができます。
これは動物が体温を下げて冬眠する時と全く同じ理屈です。
アイシングを行うと、ケガで血流が阻害された状態になっても細胞の死滅を防ぐことができて二次的低酸素傷害は最小限に抑えられます。
また、ケガをしたときに赤く腫れあがる『炎症』を抑えられるのもアイシングのメリットです。
炎症はケガを治したり、細菌などの外敵を退治する時に起こる生理現象なので身体にとって必要不可欠なものです。
しかし受傷直後の話に限定すると、炎症が進めば進むほど細胞の活動が活発化して二次的低酸素傷害が起きやすくなります。
物理的に冷やすことで、発熱や腫れといった炎症反応を抑えることは応急処置として合理的な方法と言えます。
野球のピッチャーが投球後に肩を氷で冷やしている場面がありますが、あれはまさしく肩に起きた炎症を抑えるために行っています。
しかしだからと言って、アイシングはアスリートなど特別な人が行うケアではありません。
登山やゴルフ、草野球やテニスなど普段から親しんでいるスポーツや デスクワーク、引っ越しなどの仕事においても十分にその効果を発揮できます。
自宅にあるものでアイシングを実践!
それでは実際にアイシングをやってみましょう。
今回は自宅にあるものを使いながら応急処置の方法を紹介します。
■用意するもの
氷
フリーザーバッグ
タオル(またはハンカチ)

■アイシングの方法
①患部に当てる分の氷をフリーザーバッグに入れて、少量の水を加える

②フリーザーバッグから空気を押しだす(氷を患部に密着させるため)

③氷を患部に当ててその上からタオルを巻いてしっかり密着させる

アイシングのポイントは、表面が溶けかかった「0度の氷」を使うこと。
「0度の氷」は冷却効率が高く、皮膚表面より深部の筋肉や関節なども冷やすことができます。
ただし家庭用冷凍庫の氷は一般的に0度以下の場合が多いので、温度を少し上げる必要があります。
もし皆さんが怪我をした時は袋に入れた氷に少量の水を加えて、それを患部に当てるようにしてください。
0度を下回る氷を使うと凍傷の危険があるので要注意です。

また、氷がない場合は保冷剤があると便利です。
冷却後も固まらないゲルタイプのものを使えば、身体にピッタリとフィットして満遍なく患部を冷やすことができます。
アイシングは、捻挫や打撲など急性のケガにとても有効な応急処置です。
絆創膏や消毒液、包帯などと併せて氷を用意しておくといざ事故が起きた時も困りません。
スポーツ現場の応急処置『RICE法』

アイシングの方法が分かった方は『RICE法』を試してみてください。
これは
R(Rest)休憩
I(Ice)冷却
C(Compression)圧迫
E(Elevation)挙上
の頭文字をとったもので、スポーツの現場で起きた事故の応急処置として活用されています。
繰り返しになりますが、大切なのは怪我をした直後のケアです。
適切な方法で行えば靭帯や筋肉などの組織の回復が早く、日常生活に早く復帰できます。
軽度であれば病院に行く必要もありません。
①R(Rest)休憩
ケガをしたらまずは安静にすることが大切です。
楽な姿勢を取ることで血流が低下し、腫れや痛みを抑えることができます。
②I(Ice)冷却
楽な姿勢を取ったら『アイシング』です。
前述した通り、患部を冷やすと元気な細胞の死滅を防ぐことができます。
効果を高めるために、できるだけ氷は身体に密着させましょう。
③C(Compression)圧迫
患部に当てた氷を包帯やタオルで巻きます(イラストはわかりやすいように氷がタオルの外にあります)。
安静にすることと同じ理由で、組織周囲の血流を低下させて腫れや痛みを抑えます。
血流を抑えるために「ややきつめ」に圧迫してください。
④E(Elevation)挙上
最後は患部を心臓より高い位置に上げます。
同じく血流を低下させて腫れや痛みを抑えます。
冷やす時間は20分が目安です。
20分冷やした後は2時間空けてから再度20分冷やし、以上を24時間~72時間繰り返します。
夜間も冷やせるとなお良いのですが、難しい場合は圧迫と挙上のみ行います
患部を動かす裏技『クライオキネティクス』!

『RICE法』は受傷した直後に患部を固定して、20分間のアイシングを繰り返す応急処置です。
『炎症』や『二次的低酸素傷害』が抑えられるので、これだけでも十分な傷害のケアができますが、もう少し効果を出したい方は『クライオキネティクス』をオススメします。
これはアイシングの直後に患部を動かす裏技的な方法です。
上記で紹介したように身体にダメージを負った時は「安静」が原則ですが、軽度の傷害は
①通常通り20分アイシングを行う
②痛みのない範囲で受傷部位を動かす
を繰り返すことで、回復が早まるといわれています。

患部を動かす理由は以下の通りです。
壊れた組織には修復するための材料(アミノ酸など)が運ばれてきますが、安静の状態では不規則な配列のまま置かれることになります。
しかし筋肉を少し動かすことで規則的に配列されるので、ケガからの回復が早まると考えられています。
じつは今回の捻挫のケアはこの『RICE法』と『クライオキネティクス』を試してみました。
いわゆる人体実験です。
では、その結果はどうだったのでしょうか?
アイシングを実践してわかったこと
ここからは私が実際に行った応急処置を紹介します
レスリングの練習で捻挫した直後に下記のケアを行いました。
①氷を袋に入れて、水を加える。
②①の氷水を親指に当てる
③患部と氷水を密着させてテーピングで固定する
④20分経過したら氷水を外して、痛みを感じない範囲で親指を数回動かす
その後2時間ごとに①~④を繰り返しています。
夜間は保冷剤を当てて固定。
そのまま就寝しています。
ちなみに受傷した日(4月17日)の夜の親指の写真はこちらです。

※白い部分は固定で使ったテーピングです。
親指の付け根が赤みがかって腫れています。
痛みでこれ以上曲げることができませんでした💦
4週間後の写真はこちら。

患部の腫れが引いて皺が見えています。
実際には3週間後に痛みもなく曲げられるようになりました。
自分でもここまで成果を出せるとは思っていなかったため、とても驚いています。
たかが氷、されど氷といったところでしょうか?
アイシングは肩こりにも有効

さてここからは閑話休題
身体に氷を当てることのメリットは応急処置以外にも様々あります。
例えば、内出血が起こる症状は基本的にアイシングで対応が可能です。
捻挫以外にも打撲や急性の腰痛などは、患部を冷やすことで二次的低酸素障害を予防できるので、症状の早期改善が見込めます。
肩こりのようなデスクワークに多い症状にもアイシングが有効に働きます。
筋肉は痛みを感じると縮こまる特性があり、筋肉が緊張すると身体は痛みを感じる物質を放出します。
つまり、一度痛みを感じるようなことがあると
痛み → 筋肉の緊張 → 痛み
というサイクルが身体の中で繰り返されるのですが、アイシングは痛みに対して麻酔効果があるためこの悪い循環を予防できます。
肩こりは筋肉の強い収縮が原因なので、一度冷やしてからストレッチで筋肉を伸ばしてあげると良いでしょう。
日焼けも軽度の火傷です。
熱によって表皮細胞が破壊されて、炎症を起こしています。
レジャーなどで目一杯楽しんだ後は、火傷の治療と同じく痛みを感じる部分を氷で冷やしましょう。
全身を日焼けした場合は水シャワーが有効です。
最後に今の時期に1番気をつけたい熱中症予防のポイントも紹介します。
熱中症は急激に大量の汗をかくことで水分と塩分が不足し、血液循環や体温調節に異常が出ている状態です。
気温や湿度が高い日にふらつきやめまいなどの症状が現れたら、大きい血管が通っている脇の下、首を氷水で冷やして体温を下げましょう。
そけい部を冷やせるとなおよしです。
怪我の一番の予防法、それは「筋トレ」

ここまでは氷を使った応急処置を紹介してきましたが、私たち中高年にとってそれより大切なのは「ケガをしないこと」。
年を重ねると細胞の再生が遅くなり、回復力が低下します。
同じことを感じている方も多いと思いますが、年齢が原因なのでこればかりはどうしようもありません。
深刻な状況を避けるにはケガをしない状況をつくるしかないのです。
そこで最後は、もっと大切な【ケガの予防法】を紹介してこの記事を終えたいと思います。
予防法には大きく分けて
・身体能力の向上
・オーバーユースの改善
・コンディション改善
・用具と環境の見直し
の4つがあります。
転倒予防には筋力トレーニングが有効です。
筋力を向上させると関節や靭帯を保護できるし、バランス力を向上させると道でつまづいても転倒しづらくなります。
また、柔軟性や骨密度も改善するので、いざ事故が起きた時も軽いケガですむことがあります。
スポーツや仕事、家事の際に感じる痛みにはストレッチやアイシングが有効です、
筋肉を伸ばしたり冷やすと炎症が抑えられ、使い過ぎによる関節の痛みが和らぎます。
心身の状態を最適な形に整えるにはもちろん「睡眠」が一番。
質の良い睡眠が取れると集中力が続くので、危険が迫っている時も事故を回避できます。
スポーツをするならスニーカーよりも競技用の靴を一足持っておくべきでしょう。
解剖学や力学に基づいてつくられた専用シューズは不慮の事故から身体を守ってくれます。
また、自宅で運動をするならフローリングや畳よりもカーペットの上の方が滑りにくく、膝への負担が少なくて済みます。
運動指導者の立場としてオススメするのは「筋トレ」です。
というのは「筋トレ」は自宅でできるし、一畳のスペースがあれば全身が鍛えられるからです。
一畳のスペースがあれば筋肉や骨、腱など身体のパーツが強化され、大切な身体を守ることができます。
「ケガをしない強い身体をつくりたい!」と考えている方は、筋肉を鍛えることから始めましょう。
始める決心がついた方はお近くの専門家に頼ることをオススメします。
今度は骨折してしまいました

さて、この記事を書いている時にまたもやケガをしてしまいました。
しかも今度は骨折です🩼
トホホ。
しかしアイシングの効果を試すチャンスがまたできたので、しっかりと養生しながら怪我を回復させていきます😅
回復の過程は改めてこの記事で加筆していきます。
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