シニア夫婦の食事風景

【吉祥寺・久我山】アサーティブフィットネス、パーソナルトレーナーの小森祐史です。

前回はタンパク質・糖質・脂質の三大栄養素の働きと特徴を紹介しました。

「何をどれだけ食べればいいの?」その疑問にパーソナルトレーナーがお答えします①

歩く・話す・排泄するなど身体活動ができるのはこの3つの栄養素からエネルギー(カロリー)を得ているからです。

今回はそれ以外の4つの栄養素、ミネラルとビタミン、水、食物繊維の特徴を紹介します。
三大栄養素に比べると優先順位は落ちますが、身体の調子を整える大切な栄養素です。

風邪や病気に負けない強い体を作るために改めて栄養素の勉強をしていきましょう。
そしてバランスがよい食生活を続けるための食材の選び方を紹介します。

 

ビタミン

笊の上に載った野菜と果物と芋

三大栄養素はどれも人間にとって欠かせない栄養素で、車に例えると「ボディ」「エンジン」はタンパク質、「ガソリン」は糖質・脂質が当てはまります。
そしてオイルに当たるのが「ビタミン」と次に紹介する「ミネラル」です。

ビタミンには水溶性と脂溶性の2種類があります。

水溶性ビタミンは身体の中の代謝と関係があり、タンパク質・糖質・脂質をエネルギーに変えたり、疲労の回復・免疫の維持を助ける働きがあります。
水に溶けやすく尿から排出されてしまうので、積極的に野菜や果物から摂りたい栄養素です。

一方の脂溶性ビタミンは抗酸化作用やカルシウムの吸収を助ける作用があります。
脂に溶ける性質を持っているので脂肪組織や肝臓に貯蔵されています。

ビタミンは他の栄養素と比べてカラダに必要な量はわずかですが、体内で必要量を合成できないため食品から摂取する必要があります。

水溶性ビタミン(ビタミンBとC)が多く含まれる食品 ・・・ブロッコリー、ほうれん草、納豆、豚肉
脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E)が多く含まれる食品 ・・・にんじん、かぼちゃ、カツオ、レバー、うなぎ

 

ミネラル

ナッツとまな板の上に載るアボカド

ビタミンと同じく体内で合成することができない栄養素で、無機質と呼ばれることもあります。
体液の浸透圧を調節したり、骨や歯を作ったり、貧血を予防するなど体の機能を調整するのがミネラルです。

カラダに必要な量はわずかですが、過剰でも不足しても注意が必要です。
13種類あるミネラルはそれぞれがお互いに吸収や働きに影響を与えるため、バランス良く摂取することが大切だといわれています。

カルシウムが不足した場合は骨粗鬆症、ナトリウムを取りすぎると高血圧・がんのリスクを上げることが分かっています。

日本人の食生活から考えると牛乳や小魚を意識的に取って骨を強くし、減塩食で血圧を下げることが理想といえるでしょう。
また、女性は月経という生理現象がありますので鉄を意識して摂ることが大切です。

カルシウムを多く含む食品・・・牛乳、チーズ、ヨーグルト、小魚、豆腐・納豆、干しエビ
カリウムを多く含む食品・・・ バナナ、アボカド、海苔、ほうれん草
ナトリウムを多く含む食品・・・塩、しょうゆ、みそ、ハム、ウインナー、即席めん、野菜の漬け物
マグネシウムを多く含む食品・・・アーモンド・くるみ、玄米、ひじき、あおさ
鉄を多く含む食品・・・レバー、小松菜、ココア

 

食物繊維

食物繊維には、水溶性食物繊維不溶性食物繊維の2種類があります。

水溶性食物繊維は小腸での栄養素の吸収の速度を緩やかにし、食後血糖値の上昇を抑える効果があります。
また、血中のコレステロール値を低下させ、ナトリウムを排出するので高血圧や糖尿病、脂質異常症、動脈硬化などさまざまな生活習慣病の予防・改善に役立ちます。

一方の不溶性食物繊維は水分を吸収して便の容積を増やします。
便が増えると大腸が刺激されて排便がスムーズになり、有害物質を体外に排出するため、腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らす効果があります。

どちらの食物繊維も腸内細菌の餌になるため、意識的に摂ることで腸内環境が改善されるなど様々な面で健康に寄与しています。

水溶性食物繊維が多い食品・・・オートミール、わかめ、こんにゃく、いちご、さつまいも
不溶性食物繊維が多い食品・・・玄米、ブロッコリー、小豆、柿、しめじ、しいたけ

 

水分

七大栄養素の最後に紹介するのは水分です。

私たちの身体はその約60%が水分でできています(新生児では約80%、高齢者は50%)

腸から吸収された水分は体液として全身を循環。
体の各器官に酸素や栄養を運ぶ一方、老廃物を尿として排泄しています。

そして体温が上がったときには皮膚への血流量を増やし、汗として熱を逃がすことで体温を一定に保っています。
ヒトは体温が一度でも上がると内臓機能が10%低下するため、とくに暑熱環境では不足に注意が必要です。

また、下痢・嘔吐・風邪・肺炎などの症状が発生した時には、より多くの水分を失うので脱水症状になる可能性があります。
体内の水分がわずか2%失われるだけでも眩暈や吐き気を起こすので、こまめな水分摂取は季節を問わず大切なことです。

ふだん飲み物から水分を摂ることが少ない方は食事で水分を摂るようにしましょう。
水分が多く含まれる穀類・果物・野菜は3食で必ず揃えるようにしてください。

 

「何をどれだけ食べればいいの?」その疑問にお答えします

「14品目法」の食材名が書かれた表

ここまで「人間のからだをつくりエネルギー源となる」三大栄養素、そして身体の調子を整えるそれ以外の4つの栄養素を紹介しました。

繰り返しになりますが、これら七大栄養素はバランスよく摂ることが大切です。
しかし3食の中で食材をバランスよく摂るのは難しく、どうしても偏ってしまいがちです。

そこで紹介するのが14品目法です。

これは穀類、肉類、魚介類、豆・豆製品、卵、牛乳・乳製品、緑黄色野菜、淡色野菜、きのこ類、海藻類、イモ類、果物、油脂類、嗜好品(お酒とお菓子)という14品目を1日に1回ずつ食べる方法です。

例外はご飯やパンなどの穀類。
穀類はエネルギーとなる糖質を含むので3食毎回食べてもOKです。

例①
朝 白米 焼サバ わかめとネギの味噌汁 
昼 卵サンドイッチ ヨーグルト バナナ ポテトサラダ
夜 玄米 ハンバーグ キノコとブロッコリーの炒め物 ビール

例②
朝 白米 納豆 ほうれん草のお浸し 焼きほっけ
昼 和風キノコパスタ 海藻サラダ
間食 ポテトチップス
夜 月見バーガー フライドポテト 生バナナジュース

この食事法であれば三大栄養素が不足することはありません。
一日に必要なエネルギーを摂れますし、身体の調子を整えるビタミンやミネラル、生活習慣病の予防・改善に役立つ食物繊維も摂れます。

穀類・果物・野菜も必ず食事に加わりますので脱水の心配も不要です。
不安な方は汁物を一品加えると良いでしょう。

この食事法を続けるポイントは「それぞれの食材を手のひらに載る分だけ食べる」ことです。

手のひらに載せるとお米は約0.5号、お肉は約100g、魚は半切れ、納豆は一パック、卵は一つ、チーズは50g、野菜・キノコ・海藻類はそれぞれ50~100g、ジャガイモ・リンゴは一つ、ドレッシングは個包装1つ、お煎餅は約一つ食べられます。

実際に試していただくとわかりますが、1日の中でこの量を食べればそれほど空腹感を感じることはありません。

体格や性別、年齢、活動量などによって量の調整は必要ですが、基本的に手のひらに載る分だけ食べれば1日に必要な栄養素は摂れます。

シンプルかつ簡単な方法ですのでぜひ試してみてください。

 

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