高齢者の女性二人が話している

【吉祥寺・久我山】アサーティブフィットネス、パーソナルトレーナーの小森祐史です。

先日、少し驚く出来事がありました。
年齢が80歳くらいになりそうな女性から『パーソナルトレーニング』という言葉を聞いたからです。

1ヶ月ほど前の話ですが、私は新居に必要なものを買いに外出していました。
買い物もひと段落し、コーヒーを飲んでいたところ、隣に座っていたシニア女性が

「私、最近パーソナルトレーニングをうけているのよ」と一言。

それだけサービスが浸透してきたことを実感できたのですが、同時に私が思ったのは「パーソナルトレーナーが必要ない社会がいいですよね」ということでした。

なぜ当事者である私がこのように思ったのか。
その理由を2回に分けてお伝えします。

 
 

平均寿命と健康寿命

ヘルパーさんに介護される女性高齢者

日本人の平均寿命は伸びているのに健康寿命は伸びていないことをご存知でしょうか。

健康寿命とは「健康上の問題がない(歩く、手をあげる動作など)状態で日常生活を送れる期間」

男女ともに平均寿命と健康寿命に10年ほどの差があることがわかっています。
つまり、10年ほど何らかの健康上の問題を持ったまま亡くなる方が多いということです。

特に多いのは寝たきりです。
高齢者が転倒して骨折すると日常生活を送ることが困難になります。
さらに認知症を発症すると介護が必要になります。

このようにして介護の問題が発生していることは皆さんご存知でしょう。

なぜ今このことが社会問題になっているのでしょうか。

 

日本人は運動習慣がない

横断歩道を渡る沢山の人
 

それは日本人のほとんどに運動する習慣がないからです。

運動習慣がないと筋肉は衰え、ちょっとした段差でも転び階段が登れなくなってしまいます。
実は高齢者だけでなく40代でもそういう方がいらっしゃいます。

転倒の問題は普段から「筋肉を鍛える」という意識があれば予防できますが、ある調査によると意識して運動している人は人口の3%。

運動習慣がない現状では40代の方も介護が必要になってしまうかもしれません。

そうなるとますます社会的な負担が増えます。
それは人の面でもお金の面でもです。

 

運動が続かない理由①教育不足

教室と黒板
 

私は運動が続かない理由は4つあると思っています。

それは

①教育不足
②運動アレルギー
③イベント化
④アスリートと一般人の違い

です。

①日本では「運動することの大切さ」を教えてもらう機会がありません。

学校の授業で「鍛え続けないと身体は弱くなる」ということを教えてもらったことがあったでしょうか。
将来病気になるかもしれないのに「運動を続ける大切さ」を子供の頃に授業で学んだことがあったでしょうか。

教育を受ける機会がないので、その情報は他の手段に頼るしかありません。
ですが、ご存知の通り健康情報は正しさに欠けるものが多く、場合によっては害になるものもあります(特にテレビやネットに載るもの)。

運動することの本当の大切さに気づくのは大人になってから。
しかも体が弱くなってから気づくので、深刻な状態になっていることも少なくありません。

 

運動が続かない理由②運動アレルギー

サッカーする少年たち
 

運動しない理由は学校のクラブ活動などにも原因があると私は考えています。

パワハラのニュースがここ最近テレビを賑わしていますが、 クラブ活動中の指導で高校生が自殺した事が過去にありました。
これは勝つためには力に頼った行為を厭わないという風潮が学校にあるからかもしれません。

パーソナルトレーニングを受ける方の中に「運動をしたくない」という方が沢山います。

「トレーナーさんは厳しくて、怖い人だと思っていた。」

かなりショックな言葉ですが面と向かって言われた事は何度もあります。

それはスポーツ指導者は怖いものという考えが子供の頃に根付いてしまったからかもしれません。
そういう方とお話ししていると、『運動アレルギー』というレベルではなく、もっと深い部分で運動に対する嫌悪感があると感じます。

嫌悪感を感じる人が多い現在の状況で、「健康のために運動を始めよう」という人が増えるとはどうしても思えません。

運動とは本来楽しいものではないでしょうか?

友達と一緒にボールを追いかけたり、新しい技を練習したり。
その先に勝負に勝つ、という目的があります。

子供の頃から勝負させるのではなく、ただ体を動かすことの楽しさを教える。
運動の本来の目的を考え直すことが早急に必要です。

 

後編に続きます

パーソナルトレーナーが必要ない社会を作りたい②